2017年8月23日水曜日

タバコ業界の選択と集中:電子タバコか新興国か

JTがフィリピンでのタバコ現地法人の買収を進めている。

当社グループによるインドネシアのクレテックたばこ会社及び流通販売会社の買収に関する契約締結について (JT プレスリリース)
当社グループによるフィリピンたばこ会社の資産取得に関する契約締結について(JT プレスリリース)
JTがフィリピンたばこ大手マイティーの資産を買収、約1048億円(ブルームバーグ)

▽衰退業界に現れたゲームチェンジャー
フィリピン、というか東南アジアは今後もタバコ消費量が増加していくことが予想されるためこの地域への投資は企業戦略として妥当だと思う。

ただ、現在世間的な注目は電子タバコの状況だろう。
去年一年で劇的に日本のシェアを奪ったアイコス、奪われたシェアは優に10%を超える。

JTのお膝元であるはずの日本で外資にここまでいいようにやられたのは、一重に類似製品投入タイミングの遅さが原因だ。
今年に入りようやくプルームテックが本格投入されつつあるが、現状を俯瞰する限り元のシェアに戻るというのはかなり日本びいきな見込みだと感じる。

意地悪な見方をすれば、JTがアメスピを買うなどの投資をしている間にフィリップモリスに市場シェアをとられたとも見えてしまうのが現状だ。

▽フィリップ・モリスの立場
JTと比較するとPMは電子タバコに偏った姿勢を見せている。
紙巻きたばこ市場が無くなってしまっても(要は電子タバコ一本でいくの意)いいとまで発言している。
マルボロという超ビッグプロダクトを保有している業界トップにそこまで言わせるのは製品の売れ行きに相当の自信がないとできないことだ。

▽電子バタコの現状
現在日本ではPM・JT・BATが電子タバコの品評会レースを展開中です。
現状勝ち組は確定していないが、先行したPMは相応のアドバンテージを持っているように見える。

今後同様のレースが先進国を中心に行われていくことでしょう。
直近ではJTはスイスに殴り込みをかける模様、ホルダーとしては応援しておきたい。

▽一タバコ銘柄保有者としての意見
ただふと電子タバコがタバコ銘柄を保有する株主にプラスなのかは明瞭でないとも思う。
結局電子タバコは紙巻きたばこの代替品であり、タバコ市場の総和は増えないと想定されるからだ。
巨額の資金を投じて市場規模は変わらないでは意味がないではないかと。
もちろん新商品の存在により、既存のシェアを大きく塗り替えて勝ち組を作るケースは想定されるが各企業それなりに対抗策を講じてほどほどの位置に収まるというのが一番ありそうなシナリオだとも思える。

もともとタバコ事業に成長性なんて期待してないから、ほどほどの衰退と値上げによる潤沢なキャッシュフローを維持して欲しかったなというのも偽らざる一株主の意見だったりします。

まぁ進んだ時間は戻せないのでこんなことは言っても詮無いことなのですが。

▽結論
というわけで、私自身は電子タバコはほどほど頑張りつつ成長市場への投資も続けて欲しいなというどっちつかずな意見です。

結局この業種の最大のリスク要因はライバル企業ではなく、当局だということが先日のFDAのニコチン含有量規制の発表で身に染みたので過度に期待することなく程よい距離感で末永く付き合っていければと思います。

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